上場企業と株式会社

上場企業とは何か?

上場企業とは証券取引所に上場している株式会社のことを言います。
株式というのは株式会社の所有権を細分化したものであり、株式を保有するということは会社を区分所有することと同義です。
そして、株式を持っている個人または法人のことを株主と言います。

上場企業の株式は証券会社等を通じて証券取引所で売買することができますので、
新しく株主になりたい人は誰でも株式を取得することで株主となることができ、株主をやめたい人は誰でも株式を売却することで株主をやめることができます。


日本に存在する株式会社

日本には2016年2月時点で約190万社の株式会社が存在していますが、日本の各証券取引所に上場している企業は約3,500社ですので、上場企業は日本の株式会社のわずか約0.2%となります。

残りの99.8%は非上場の株式会社ということになりますが、非上場会社であっても株式会社ですので株主は存在します。

上場会社とことなり、非上場会社の株式は創業者やその親族が持っていたり、他の会社が持っていることもありますが、いずれにしても株式市場に流通していないことから、無関係の人が容易に手に入れることはできません。

上場することの意味・目的

株式会社が上場を目指すのにはいくつかの理由があります。
実際には企業によって上場する目的はことなりますが、ここでは程度の違いはあっても多くの企業が上場する際に共通する3つの目的について説明します。
  1. 企業自身が成長資金を確保するため
  2. 企業の知名度を高め優秀な人材を集めやすくするため
  3. 創業者や株主が上場により利益を得るため

企業自身が成長資金を確保するため

企業が事業を展開するためには資金が必要です。
このようなときに使える資金を調達する手段としては、①稼いだ利益を蓄えておく(内部留保による調達)、②金融機関等から借り入れる(負債による調達)、株主から調達する(株主資本による調達)の3つがありますが、①は時間がかかり、②は契約に基づいて利息を払い、元本を返済する義務があります。
これに対して、③株主から調達する資金は会社は返済義務がなく、利息(配当)の支払も義務ではないため、企業の立場からすると非常に使い勝手の良い資金です。

企業は上場に際して新規に株式を発行し、多くの投資家に出資してもらうことで安定的に使える資金を手にすることができるのです。

企業の知名度を高め優秀な人材を集めやすくするため

現代では終身雇用制が崩れ、新卒時だけでなく転職を考える際も、よりよい条件や環境が見つかれば仕事を変えやすくなってきています。
企業の立場からすれば、上場企業になることで様々な形で露出が増えるため、人々に認知されるようになることに加え、
上場企業には様々な情報開示義務が課せられることから、求職者の立場としても、非上場企業に比べると情報を得やすくなります。

ただし、インターネットが普及した今では、上場企業でなくとも求職者や消費者に認知してもらうためのマーケティング手法、選択肢が格段に増えている上に、
上場企業の数自体が大きく増えたため、昔のような効果はなくなってきているかもしれません。

創業者や株主が上場により利益を得るため

「これが目的です」と言い切る上場企業の経営者はまずいないと思いますが、いわゆる創業者利益を確保する目的で上場する会社は非常に多いと思われます。
上場時に行われる新株発行により集まった資金は会社のものになりますが、創業者や株主は持っている株主を上場のタイミングで売却することで投資を回収することができます。

極端な例を挙げると、創業者1名が出資して作った資本金1,000万円が上場し、その時価総額が10億円だったとして、この創業者が上場時に全株式を手放したとすると10億円が創業者の退職金となります。
もちろん常識的には創業者が上場とともに完全に引退することは考えにくい話ですが、一部売却によっても十分な資金を得ることができます。

なお、一度潰れた会社がファンドなどの傘下で再生して再上場するケースがありますが、この場合の上場にはファンドが投資していた再生資金を回収するという意味があります。